フリーフライツ・インプロライブ 2008年12月19日
2008年最後のロングフォームは、フリーシーン
お客様からいただいた「もりの中で女の子がお花の妖精さんと出会うお話」をタイトルに、壮大なファンタジーがうまれました。
庭の手入れをするゆみちゃん。そこへやってきたおじいちゃんに「父との大切な思い出のくすのきが落葉している」と話す。
くすのきって、常緑樹。冬でも枝にたっぷりと緑の葉を茂らせているはず・・・
その言葉がこの舞台のひとつのキーワードになりました。ゆみちゃんが大切に大切に育てているくすのきは<病気>になっていたのです。
ここから、ゆみちゃんがくすのきを元気にする為に、自然を象徴する妖精界と人間界を舞台にしたドラマが始まりました。
ゆみちゃんがくすのきを元気にする為に「行ってはならない森」に足を踏み入れると、そこには様々な出来事が待ち構えていました。森に住むケンタウロス、ウンディーネとの対決、そして自分自身と父の秘密。それを知った故の心の葛藤。それらの困難を、人間の姿をした、いつもゆみちゃんのそばにいる妖精みよちゃんと共にひとつひとつ乗り越えていき、最後には妖精界の王と対決をすることになった。
実はゆみちゃんは、真名を「けいこ」といい、人間と妖精界をつなぐ一族の血をひく娘であった。そして、いま目の前にいる妖精界の王こそが、ゆみちゃんの父であったのだ。
ところが親子の血と絆は、全てを知っていた。目の前の相手が愛しい父であり娘であると。今までの時間を埋めるように抱きしめあう二人。幼い頃から、父はこの世にいないと聞かされ、心の中でのみ慕っていた父。何故?という思いや、甘えたかったという少女の気持ちが、こらえきれずに思わずふきだしてしまう。
父の大きくて暖かい腕に抱かれながら、一族の宿命を知ったゆみちゃんは、幼いながらも心の葛藤を乗り越え、運命を背負って生きていくことを決める。そんなゆみちゃんに、父は妖精界の王としてのハートを渡す。それを父の事を思いながら毎日世話をしていた大切なくすのきの与えると、みるみる元気になっていった。
幼いゆみちゃんが、あるきっかけによって、妖精の世界という異空間に足を踏み入れ、その中で、まるでゆみちゃんの気持ちを試されるように起こる様々な出来事。そのひとつひとつを仲間みよちゃんと共に乗り越えて、現在の空間に戻った時には、誰にも想像が出来なかったほどに大きな成長をとげていた。
幼いながらも、人間界と妖精界をつなぐ一族の長として生きることを決めたゆみちゃん。ゆみちゃんと父がいることで、人間も自然と見事に繋がりながら生きていくことを予想させられた。
いくつかのキーワードや多くのプレーヤーのオファーから、予想もしなかった展開、壮大なストーリーがうまれました。
照明・音響とも一つになった舞台は圧巻で、ゆみちゃんと父の深い想いにより成長した、くすのきのシルエットで暗転となったエンディングは、感動の一言でした。
日程 : 2008年12月9日(火)
会場 : 大阪なんば・ゑびす座
(文 : ひめ)